MarkorはAndroid用の高機能プレーンテキストエディタです。
オープンソースで配布され、アプリはGooglePlayのほかF-Droidからもインストールできます。
MarkDown編集をフルサポート
基本的な機能はプレーンテキストの編集ですが、見出し・リスト・インデントなどMarkDown編集をサポートするソフトボタンも提供しています。
Markorが優れているのは、ViewモードとEditモードを手軽に切り替えられる点です。
ViewモードはWebViewでレンダリングし、ファイル間のハイパーリンクが機能します。
またWebViewを活かして、画像をはじめマルチメディアを自力でレンダリングするため、編集こそテキストベースながらリッチドキュメントを管理できます。
「設定」->「表示モード」->「Inject->head」項目にCSSを追加することにより、レンダリング結果の見た目のカスタマイズも可能です。
リモートsyncは外部ツールを活用
Markorはローカル編集に特化したエディタであり、何らかの手段でディレクトリをすることでドキュメントをマルチデバイスで共有できます。
ディレクトリsyncに対応するアプリであれば何でも使えますが、Termux上で動作するsshクライアントは特に高機能です。
フルスペックのOpenSSHが動作するため、複雑な構成のSSHサービスにも接続可能で、PCクライアントと同じgitリポジトリとsyncできます。
TermuxのスクリプトをAndroidホーム画面から起動するには
Termux:Widgetを利用できます。
サブディレクトリの1つひとつが異なるデータソース、異なるsync手段であってもMarkorはとくに関知せず内部のファイルを編集できます。
todo.txtなどもサポート
MarkDownはToDo管理に最低限対応しているものの、表現力が貧弱です。
Markorは
todo.txtをサポートすることで機能を補完しています。
todo.txtフォーマットには、プロジェクトや優先度、コンテキストを付け加えられます。
2023年春現在、これらのメタデータをセマンティックにレンダリングしきれているわけではないのですが、専用の編集ボタンを提供しているため編集には便利です。
他にも、AsciiDocやWikitextの初期実装を追加しており、markdown系のサポートを広げようとしています。
プレーンテキストの相互運用に強いエディタ
MarkDownの編集のために単体で利用しても便利なエディタですが、サポート対象のフォーマットがオープンであるため、マルチデバイス環境で活用すると特長を最大限活かせます。
たとえばemacsはLinuxコンソールで幅広く動作し、
Markdownや
todo.txtもサポートしています。
テキスト編集はキーボードのあるコンソール環境の方がより適しているため、主な編集をLinuxで進めることが多いケースでは、Markorが外出先のアクセスをシームレスに補完します。
スマホの持ち歩き時にはキーボードを前提にできず、View/Editともにスムーズに使うためにタッチUIを前提に開発されたMarkorが適役です。
そして、スマホ向けのキーボードを接続することで、画面も広くなり、編集スピードもデスクトップとあまり変わらない構成にもできます。
オフィスドキュメントは外部アプリを統合
Markorの守備範囲はテキストファイルです。
表計算やスライドなどのオフィスドキュメントは編集できないものの、MarkDownのリンクで関連づけることは可能です。
これにより、たとえばViewモードから特定のGoogleスプレッドシートを直接開けます。
この目的には、「設定」->「その他」->「Chrome Custom Tabs」の設定はオフの方が適しています。Androidのインテント経由でGoogleDriveのアプリが起動します。
GoogleDriveのドキュメントURLはGoogleアカウントによって保護されていますが、GoogleDriveのアプリはほぼサインイン状態を継続しているためシームレスにアクセスできるでしょう。
Crome Custom Tabsが有効な場合、アプリに統合したブラウザアクセスとなります。一般的なWebサイトは素早く開ける一方、インテントが動作しない制約があります。
Chuma Takahiro