kubernetesのDeployment

kubernetesのコンテナの動作はControllerというレイヤで管理します。dockerインスタンスなどの個別のコンテナはPodという単位ですが、kubernetesはクラスタリング・ツールなので、Pod単体で管理するメリットは特にありません。

Controllerにはいくつかのバリエーションがありますが、基本的にはDeploymentを利用すれば足りそうです。
Deploymentは、コンテナイメージ更新の際の無停止ローリングアップデートやロールバックを取り扱えます。

※ ただし、persistentDiskをマウントしているコンテナの場合には、新イメージのPod起動時にマウントすべきディスクを獲得できず、”FailedMount AttachVolume.Attach failed”のようなエラーが出て操作完了しませんでした。このケースでは既存Podを先に停止させる必要がありそうです。

無停止アップデートの手順

Deploymentを利用した無停止アップデートの導入手順は以下のような流れです。

  1. Deploymentの構成ファイルを定義してコンテナ群を構築
  2. コンテナを更新する際に、構成ファイルの.spec.template以下の設定値を書き換える
  3. kubectl apply -f some_config.yamlを実行

.spec.templateの例として、 公式ドキュメントの解説では、dockerイメージのバージョンタグ(.spec.template.spec.containers.image)の書き換えを想定しています。

実際には、.spec.template.metadata.labelsに任意のラベル(バージョンなど)を設定して、その設定値更新でもPodコンテナのアップデートを実行できます。

各バージョンのDeploymentを定義するたびに、ReplicaSetが新たに作成され、直前まで実行していたReplicaSetが停止します。
過去のReplicaSetの設定は更新後も保持しているため、kubectl rollout undoコマンドでロールバックできます。
Deploymentのリビジョン履歴は、kubectl rollout historyコマンドでリスト表示できます。

何らかの理由で新構成のPodを起動できなかった場合、旧Podが引き続き稼働しつづける挙動になっています。

Replication Controller→Deploymentへの移行

旧バージョンのControllerにはReplication Controllerしかなかったため、従来のユーザーはどこかのタイミングでDeploymentなどに切り替える必要性に直面します。

ただし、Replication ControllerとDeploymentの設定項目は互換性が高いため、Replication Controllerの設定ファイルをほぼ流用できます。

変更点は以下のとおりでした。

  • apiVersion: apps/v1
  • kind: Deployment
  • spec.selectorはバリデーションエラーになるため削除

kubectlによる操作インターフェースも両者は基本的に同じです。Replication Controllerの設定ファイルをコピーしてDeploymentの設定ファイルを作成したとすると、以下のように delete -> create することで移行完了します。

$ kubectl delete -f some-replication-controller.yaml
$ kubectl create -f some-deployment.yaml
中馬崇尋
Chuma Takahiro