MySQLやPostgreSQLをLinuxにインストールする簡単な手順は、rpmやapt-getなどのディストリビューション標準パッケージツールを利用することです。
メジャーなLinuxディストリビューションは0.5〜2回/年程度のペースで新規バージョンがリリースされます。新しいディストリビューションはおおむね最新のデータベースパッケージをバンドルしているため、とくに下準備せずインストールできます。
一方で、最新バージョンのディストリビューションをリリース後すぐに採用できないケースも多々あります。
このような場合でも、MySQLやPostgreSQLのリポジトリ設定を活用することで、最新ではないディストリビューションに最新のDBMSをセットアップできるチャンスがあります。
MySQLのインストール手順
MySQLの最新メジャーバージョンをLinuxの旧ディストリビューションにインストールしたい場合、MySQL公式サイトが提供しているレポジトリを利用すると手軽にインストールできます。
以下のURLをブラウザで表示すると、Ubuntu、Debian、Redhat/CentOS、Fedora、SuSEの直近バージョン向けのリポジトリファイルの一覧が表示されます。
ファイル名後半の文字列を見て、利用しているディストリビューション向けのファイルをダウンロード&インストールします。
Debianの例では、以下のようなレポジトリ設定が追加されています。
$ cat /etc/apt/sources.list.d/mysql.list
### THIS FILE IS AUTOMATICALLY CONFIGURED ###
# You may comment out entries below, but any other modifications may be lost.
# Use command ‘dpkg-reconfigure mysql-apt-config’ as root for modifications.
deb http://repo.mysql.com/apt/debian/ wheezy mysql-apt-config
deb http://repo.mysql.com/apt/debian/ wheezy mysql-5.6
# deb http://repo.mysql.com/apt/debian/ wheezy connector-python-2.0
# deb http://repo.mysql.com/apt/debian/ wheezy utilities-1.5
Redhat系でも同様に /etc/yum.repos.d/mysql-community.repo などにyumの参照先が追加されます。
これにより、apt-getやyumなどのパッケージマネージャからmysql-community-serverなどをインストール可能になります。
デーモンの起動スクリプトも標準提供されているので、基本的な使い方としてはmy.cnfをカスタマイズして起動するだけでmysqldが立ち上がります。
MySQLのバージョン選択
MySQLのレポジトリはMySQLのメジャーバージョン別にいくつかの設定が用意されています。以下のファイルはRedHat系の/etc/yum.repos.d/mysql-community.repoの抜粋です。
現時点の標準インストール状態ではMySQL 5.6がインストールされますが、たとえば以下のようにenabled=1の設定を変更することでMySQL 5.7を選択できます。
# Enable to use MySQL 5.6
[mysql56-community]
name=MySQL 5.6 Community Server
baseurl=http://repo.mysql.com/yum/mysql-5.6-community/el/6/$basearch/
enabled=0
gpgcheck=1
gpgkey=file:/etc/pki/rpm-gpg/RPM-GPG-KEY-mysql
# Note: MySQL 5.7 is currently in development. For use at your own risk.
# Please read with sub pages: https://dev.mysql.com/doc/relnotes/mysql/5.7/en/
[mysql57-community-dmr]
name=MySQL 5.7 Community Server Development Milestone Release
baseurl=http://repo.mysql.com/yum/mysql-5.7-community/el/6/$basearch/
enabled=1
gpgcheck=1
gpgkey=file:/etc/pki/rpm-gpg/RPM-GPG-KEY-mysql
PostgreSQLのインストール手順
PostgreSQLも公式サイトが提供している各ディストリビューション向けのレポジトリを設定してパッケージマネージャからインストールする、という手順になります。
PostgreSQLは、Debian系とRedhat系で多少セットアップ手順が異なります。
Debian系の手順は、 https://wiki.postgresql.org/wiki/Aptに説明があります。
/etc/apt/sources.list.d/に設定ファイル(pgdg.list)を手動またはシェルスクリプトで作成します。
その後、apt-key
でファイル検証用の鍵をインポートしたうえで、リポジトリデータをapt-get update
で更新すると、postgresql各バージョンのパッケージをインストールできるようになります。
Redhat系の場合は、 http://yum.postgresql.org/で、レポジトリ設定のnoarch.rpmが配布されているため、各ディストリビューション用のRPMパッケージをインストールすれば設定が完了する流れとなっています。
PostgreSQLがサポートしているディストリビューションは多く、Debian系でDebianとubuntuをサポートするほか、Redhat系でFedora、Redhat/CentOS/Oracle Linux/Amazon Linux/Scientific Linuxがリストされています。
100種類以上の依存パッケージが盛大にインストールされますが、手順は簡素で、インストールが完了するとPostgreSQLデフォルトの5432番ポートでDBサーバーが立ち上がった状態になります。
MySQLもPostgreSQLも、シンプルなインスタンス構成であれば、手間取ることなくメジャーなLinuxディストリビューションにセットアップできます。
Chuma Takahiro